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若き諸君に告ぐ

 私の友人に中学校で英語を教えているヤツがいる。仮にKと呼ぼう。先日、そのKから電話があった。


K:つかけん。実は頼みがあるんだ。

つ:なんだ。金か。頼む相手を間違えてないか。

K:ちがう。金じゃない。

つ:じゃあまた女か。俺はもうヤだぞ。どこかのプロゴルファーみたいに謝罪しちまえ。

K:馬鹿。それはお前だろう。

つ:あのなあ、それが人にものを頼んでるヤツのセリフか。

K:そうだった。わりい。えーとね、実はかくかくしかじかという訳なのさ。

つ:ふーむ。それで?

K:牛丼1杯でどう。

つ:しょうがないな。引き受けてやるよ。ただし特上大盛りだぜ。

K:サンキュ。じゃあ資料を送る。後は任せた。


 …とまぁそういう訳で、今私の目の前には届いたばかりの紙が束となって積んである。私は甘いな。たった一杯の牛丼で引き受けてしまった。ああ、めんどくさいなぁ。そういえば、ヤツは以前にも同じことを私に頼んだよな。相変わらず授業で生徒に洋楽のシャワー浴びせてんのかよ。芸がないぜ。


 ここで、彼にまつわるエピソードを少し紹介しよう。

 教師になったばかりの頃、Kはビートルズ特集なるものを企画し、昼の校内放送で流そうとした。飲んでる途中の牛乳なぞを吹かないよう、どヘビーな曲やマニアックに過ぎるそれらを外し、しっとり系を中心に置くなどの工夫を凝らしたらしい。ところが、今なら信じられないことだが、とあるベテラン一教師によって、これに「待った」がかけられたのだ。他の教員は別にいいじゃんてな空気だったらしいが、このベテラン教師の発言力と存在感が有無を言わせなかったようだ。その理由が、「ビートルズの音楽的な評価に疑問を挟むつもりはまったく無い。生徒の情操教育上にも好ましい。が、麻薬騒動で日本入国ビザが下りなかったポール・マッカートニーの件を考えれば、はたして公立の学校の中で、しかも放送という公共性の高い手段によって"彼"を加えたグループの曲を流すのはいかがなものか」だったらしい。まだうら若きかの放送担当教師Kは他の援護もなく、渋々「特集」を断念したとのこと。

 がしかし、次の学校に赴任した彼が性懲りもなく「ビートルズ特集」を企画したらば、今度はおとがめなかったそうである。もともと英語の授業でビートルズやらスティーヴィー・ワンダーを度々生徒に歌わせているし、これに味をしめた彼が次に画策したのが、大手レーベルでの発売中止(放送禁止?)の憂き目に遭ったRCサクセションの『カバーズ』を学校放送で流すことだった。反原発のメッセージを込めた「サマータイム・ブルース」を流すのは若い彼をしても「公共・中立性」に反すると思わせたのだろう。さすがに外したそうだ。が、「風に吹かれて」や「イマジン」は流したらしい。生徒達にいたく好評だったそうである。これで忌野清志郎のファンが増えた、てのはまぁオマケ。


 で、こんなKはまだ教師を続けている。そして、私にとあるアンケートの集約を頼んだという次第なのだ。さて、この紙束を一体どうしたもんか。ふむ。まあいいや。適当に済まそ。けけ。


 そういう訳である。K先生にこの1年、毎時間洋楽を歌わされ続けたT中学校3年生の若き諸君。君らが応えたアンケートの集約作業は、この私がしっかり引き継いだぞ。公表時期は、そうだなぁ、卒業式あたりがいいんじゃないかなぁ。なに。遅いってか。むはは。悪いが諦めてくれ。こちとら忙しい身なんでい。まぁぼちぼち進めてはいるから。ゆっくり待ってろ少年少女達。

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