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歩いていこう

Sting_mercury
 私は今どこを歩いているのだろう。好きなように歩いてはきたが、気がつけばここにいる。はて。ここは一体どこなんだ。どこって、ここはここじゃないか。そうか。ここでいいのか。私は歩くべき道を歩いてきたんだな。ふむ。

 さて、ならばここからどこを目指していこう。


 またまた古い書き込みで恐縮なのだが、13年前、私はぼそりと真夜中のモニターの前でこうつぶやいている。


 「歩き方」

 歳を重ねるってのはどういうことなんだろう。

 それをもしかするとそっと教えてくれる一人がかつてのロックミュージシャン、スティングなのかもしれない。

 スティング。今でも衝撃として私の中に刻まれる数々の曲、例えば「Can't Stand Losing You」、「Born In The 50s」、「Reggatta De Blanc」…。大関ポリスはあっという間に深い海を一つ作り上げて消滅してしまった。後追いの私には電光石火。『Synchronicity』という極みは、しかし、初期の火の玉のような性急さと荒削りを好む私には素直に入っていけないエリアにある。その後の1stや2ndソロ・アルバムの世界は私をしばし楽しませてくれたものの、やがてなにやら妙な分別臭さやら肩肘張ったかのようなスタンスをそれ以降の彼に嗅ぎとってしまった私は、その向こうに見えていたはずの真摯と誠実ささえかったるく感じられた。それは近作の『Ten Summoner's Tales』までつづくことに。

 彼は彼なりに歳を重ねていったのか。

 『Mercury Falling』を聴く。初めて。

 先日、まさかいるはずもないだろう小さな中古CD屋に彼がいた。右手を額に当てたモノクロの彼は私が来るのをずっと待っていたのか。新品のオレには見向きもしないオマエは必ずここに来る。そしてオレに出会う。見透かしたかのようなその横顔。"縁"としかいいようのない感覚にとらわれたまま私はレジに持っていく。それからずっと彼は私の一番近くに置いてある。他のどのCDよりも。

 今、聴き終わった。ちょいと前まで持ち続けていた私の思いは木っ端微塵。ここには肩肘張った顔も、分別臭い顔もない。あるのは穏やかに音楽を楽しむ顔。その裏の真摯な顔。なにより余計な力を抜いて微笑みながら歳を重ねていく顔。なにか吹っ切れたかのような、風呂上がりのような味わいがある。

 どうしてそんなに清々しくなれたの。

 今の私は相変わらずもがいている。肩を怒らせている。そんな自分が嫌いなわけではないが、このまま歳を重ねていくのもなぁ、なんてつぶやく自分もいる。なーんてこと普段考えてもいないと思ったのに。このCDを聴いたらバレちまった。実はどこかで考えていたってことを。

 ポリスのデビューからここまで彼が歩いた道は私にとって興味深い。今の私は目の前にいる彼にはまだ程遠いが、一つのヒントをもらったような気がする。

-97/02/22 01:38 @niftyFBEAT【洋楽温故知新部屋】-


 そかそか。当時の私はもがいていたんだな。肩怒らせていたんだな。可愛いもんだ。っても、それじゃあ今のおまえは力を抜いてゆったり構えているのか、穏やかに歩を進めているのか、と問われて、うん、そうだね、と即座に返せるのか。どうなんだ。………。けっ、修行が足りねえよ。

 だけど、まあいいじゃない。今の私のままでも。修行なんかいらないさ。

 行く先かい。風に聞いとくれ。さあ行くよ。歩いていこう。

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Comments

つかけんさん、こんばんは。
大変ご無沙汰しております。
つかけんさんはFBEATにいらしたんですね。
自分もほんの少しですが書き込みしたことがあります。(主な出入り場所はFROCKLでした)
自分はポリスから入ったクチなので、スティングのソロはずっと遠ざけたままですが、つかけんさんの記事を読んでもう少しきちんと聴いてみようかと思い始めました。
いつもつかけんさんの記事は雰囲気があって好きなのですが、今回もなんだか元気づけられる文章で楽しく読ませていただきました。
ありがとうございます。

Posted by: SYUNJI | Jan 17, 2010 at 18:49

SYUNJIさん、お久しぶりです。ありがとうございました。
ニフティのフォーラム時代は懐かしいですね。私はFROCKLの余りの急流にたじろぎ、もっぱらFBEATを根城にしていました。95年の入会後、96~99年頃が今思うと私がかの部屋(洋楽温故知新)で一番ふんぞり返っていたようです。ふは。
あのときほど文章というものを書きまくった時代はなかったと思います。自由でありながら保たれる場の節度とコミュニケーションの濃密さったらなかったですね。奇跡としか言いようがありません。

Posted by: つかけん | Jan 17, 2010 at 23:15

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