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君じゃなくてもよかった

Matsutakako
 初めて出会ったときの衝撃というものがある。人にも本にも音楽にも。しかも、それが見知った人や音楽だったりするともういけない。たちまち私はそれまで見過ごしてきた、あるいは見て見ぬ振りをしてきた「過去」を遡るのだ。お決まりのパターンである。そして、その見過ごしてきた時間を深~く後悔することが多々ある。

 が、その逆も、少数ながら、ある。初対面の衝撃を結局超えられずに終わるもの。音楽に限るなら、例えばDonovanのベスト盤、小野リサのベスト盤、荒木一郎のベスト盤等。…なんだよベスト盤、ベスト盤て。ふへ。

 今年09年にもなってようやくお目にかかった松たか子も、その少数派に入ることになりそうだ。もう6年前の作品になるのだけど、『Harvest Songs』(2003年)を聴いたときの衝撃、というか、目からぽろぽろ落ちるウロコの数ったらなかった。今までなにしてたんだ俺は。なに避けてたんだ。くそ。色眼鏡をかけてたんだよなぁ俺は結局。慌てた私が彼女の過去の作品をかき集め、一つ一つ貪り食ってみたのはいうまでもない。ライブを収めたDVDまで買っちまった。

 しかーし、しかしだ。どれ一つとして『ハーヴェスト~』を超えるものがない。今しがた過去の4作品からピックアップした自分用オムニバス盤を聴き返してみたが、みるべきものはほとんどないことを再確認するだけに終わった。勢いだけで選んじまったことがよく分かる。


【松たか子 EARLY COLLECTION 1997-2001】 edited by つかけん

01 I Stand Alone
02 A Piano Piece For Carol
03 東京バード
04 からいかれ
05 Wind Song
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06 Kisses
07 Stay With Me
08 On The Way Home
09 20 Candles
10 あくび
11 恋するギョーザ
12 君じゃなくてもよかった
13 Just A Flow
14 あなたへ
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15 エール
16 夏の記憶
17 真夜中のギター
18 夕焼けワルツ
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19 ゆびさき


 1stアルバム『空の鏡』から選んだ#01~05は、彼女の軸足がまだ女優にあることが伺える、手探り感ありありな作品である。それ以上でもそれ以下でもない。#06~14を選んだ『アイノトビラ』は、余裕というか欲が少し出てきたのか、いろんな楽曲を彼女に歌わせながら、彼女の色を出させているのが分かるし、少なくとも『空の鏡』よりは音楽に向き合おうという姿勢が見て取れる。9曲もこのアルバムから選んだそれが理由だと思う。その後の2枚『いつか、桜の雨に…』と『a piece of life』は、しかし凡庸である。吹っ切れていない。選曲がそれぞれ4曲、1曲とさびしい結果に終わっている。「ゆびさき」なんて体裁整えるために無理やり突っ込んだかも。

 やっぱり、『Harvest Songs』を超える作品は無いんだな。むー。この"目からウロコ"アルバムについては、その後の『僕らがいた』や『Cherish You』と合わせて後日、稿を改めたい。


 これで終わるのもなんなので、このオムニバスからの聴き物を3曲挙げて〆る。

 「君じゃなくてもよかった」
 「Kisses」
 「エール」

 この3つは好きだ。特に「君じゃなくても~」は詩と楽曲、それにアレンジがいい。「Kisses」が歌う内容は身も蓋も無いんだけど、シンプルでいい。このストレートさがいい。

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