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81年の周辺 1

 ■化けものあらわる

Lindley01_2
 David Lindleyのアルバム『化けもの』。
 原題は『El Rayo-X』とな。冠詞からしてスペイン語だなや。最後の母音を外せばたいてい英語になるから、「Rayo」=「Ray」かな。となると『エックス線』か。まぁそんな原題なんかより、ジャケットにたたずむ頭からワカメでも垂らしてるようなリンドリーを見ればこんな邦題も分かろうというものだ。いつかどこかで聞いたのが、リンドリー自身がこの日本語タイトルをつけた云々。ホントかよ。

 彼が日本人のリスナーを意識したかのようなそのエピソードは、この作品を聴けばうなずけるフシがある。よーく聴いていると、沖縄の音階がときたま顔を出してくるのだ。ドミファソシドぉ。

 このアルバムにぶち込まれた材料は、まずレゲエにスカ&中~南米を駆け回るリズムという名の野菜。次にソウルやロックンロールちゅう肉。そこに初期Ry Cooderがお得意にしていたテキサス&メキシコ周辺の乾いた酒。そしてThe Bandあたりがさかんに取り上げていたような木の匂いを放つ香料。さらに太平洋上に浮かぶ島々のような大らかなフルーツ。で、それは琉球という名の果実まで含んでいるということだ。なんてこった。太平洋を一周しているぞ。そうだ。これは環太平洋ミュージックという鍋料理なのだ。地震が起きそ。

 この「環太平洋」色は先のライ・クーダーもときおり見せるのだけど、リンドリーの方がライより大らかだし、軽やかだ。飄々と演奏している。胃もたれさせず12曲を一気に聴かせてしまう。かといって手を抜いた曲はおろか、フレーズ一つすらない。どこを切り取っても格好良く決まっている。聴き終えた後もう一度最初からって気にさせてくれる。

 81年、とんでもない化けものが出たもんだ。といいつつ踊り出さずにはいられない88年の『Very Greasy』も捨てがたい。とはそっと言っておこう。あ、マダカスカル島に飛んだ93年『Henry Kaiser & David Lindley In Madagascar Vol. 2』も。

 数年前、大井川は寸又峡温泉ちゅう山奥でひょっこり開かれた彼のコンサートを私は逃している。くしょっ。


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