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80年の周辺 1

 ■夜7時のニュース

 いつも外食で済ませる私には珍しくその夜は自炊だった。寒い下宿で。シチューでも作るか。牛は高いな。豚だ。豚にしよ。クリーム・シチューがいい。

 誰かが暗殺されたってアナウンサーの淡々とした声が隣の部屋から流れてくる。誰だって。え、えっ。ジョン・レノンっ。うそだろおい。気がつけばテレビの前に飛び込んだ私はその場に正座したまま動けなくなっていた。菜箸だったか、お玉だったか、を握りしめたまま。

 彼のファンでもなんでもなかったはず。ソングライティングならポールの方に惹かれ続けていた。『ジョンの魂』も『イマジン』もまだ後追いすらせず、73年前後のシングルとアルバム『心の壁、愛の橋』がお気に入りという、そんな程度だったはず。

 その特にどうってことのない人との突然の別れに直面させられた私の頬をだらだらと涙が伝い流れてくる。なぜ。いまだに理由が分からない。不覚という他ない。テレビはとうに別のニュースに移っていたらしいが、食事の支度もそのままに、正座した私の体は固まっていた。時間が止まっていた。

 だからといって『ダブル・ファンタジー』はお気に入りにはならなかった。私の興味はビートルズ時代、そしてソロ転向後のジョンという名の人間に向かっていく。その生き様や考え方に共鳴するようになっていく。それだけのことだ。
 
 今では、しかしそのすべてに共感するほど純であるわけもなく。時々反省してい…。しているのかつかけん。ホラ吹くんじゃねぇよ。

 「12月8日」は毎年訪れる。「8月15日」がそうであるように。年に1日くらいは反省したらどうだなまけもの。残り364日はへらへらしても。

 80年代幕開けのこの年、「スターティング・オーヴァー」には、ごめんよジョン、もちろん思い入れはない。チーン。じゃあどんな曲に。歌に。さぁねぇ。それは次回にでも。


 ( >>80年の周辺 2 )

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