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80年の周辺 2

 ■男は南からやってきた

 南だと。どこだ南って。アフリカかな。うん、そうだアフリカ大陸だきっと。ジャケがフラミンゴだし。…そもそもなんでフラミンゴなんだ。

 クリストファー・クロスの「セイリング」は9割の渋みに1割の果汁を加え、よくかき混ぜた後、浮いた灰汁を捨てて出来上がった。そんな曲である。要するに洗練されているのだ。渋味をベースにしながらポップな後味を残すというまったく奇跡的なことをやってのけている。80年代初っ端、間違いなくこの作品は一つの方向を示したのだろう。示しただけだが。

 ところで、この奇跡を越える作品をはたして彼は作り得たのだろうか。1stアルバム以降を聴いていないので確証などあったもんではないが、多分Never!と私の動物的勘は告げている。ただ、この曲のゆったり感や静謐さをクリス・レアの「オン・ザ・ビーチ」は受け継いだかもしれない。というのも私の動物的…ウソつけ。こじつけだろが。ふは。

 さて、彼クロスには「風立ちぬ」というもう少し下世話な曲もある。これはこれで当時は気に入っていた。松田聖子ともども。という手垢のついた展開は余計ってか。どもども。ピアノのリフ、間奏から徐々に現れるブラス・セクション、それにパーカッションがこの曲の大切な三要素だ。全体の展開もなかなかなもんである。でも今聴くと時代を感じるな。マイケル・マクドナルドのハイトーンもうざったいし。


 ■ガウチョを救う

 アルバム『』なら「麗しのペグ」。『ガウチョ』なら「グラマー・プロフェッション」。

 いつぞや書いたように彼らスティーリー・ダンというユニットのアルバム2枚のくつろぎ感や洗練さに私は息苦しくなっていた。そんな私の呼吸を取り戻してくれた例外が上の2曲である。「グラマー~」にいつ果てることなく続く単調なドラムス。その上を弾むベース、滑るギター&ピアノ、乗っかっているボーカル。そして規則正しく訪れるサビ。まるで浜辺に打ち寄せる小波、小波、小波、そして大波の繰り返しを見ているようだ。しっかし一体なんなんだこの快感は。単調なドラムス&ベースはいつしかフェイド・アウトしていく。そうか。快感はその単調さあってこそ生まれるのだ。後のティアーズ・フォー・フィアーズの「ルール・ザ・ワールド」がそうであるように。


 ■罪なギター

 ボズ・スキャッグズの「トワイライト・ハイウェイ(You Can Have Me Anytime)」。カルロス・サンタナが間奏をリードしていたとは当時は知らなかった。あの艶やかなギターの音色。

 ぼくも一つ年下の少女もこの曲が大好きだった。二人があの日お茶を飲んだ喫茶店は今も北千住にあるのだろうか。店内にはからずもこれが流れてきたとき、それまで喋っていた二人の笑顔は固まり、視線を合わすことができず黙ってしまった。ぼくの眼は空をとらえ、彼女はうつむく。これが最後のお茶だと二人は知っていたから。ばかやろう。どうしてあの場に流れてきたんだ突然。


 ■エトセトラ

・ ザナドゥ / オリヴィア・ニュートン・ジョン&ELO
・ 99 / トト
・ ヒム / ルパート・ホルムズ

 当時のボズ・スキャッグズを支えながら腕を磨いたスタジオ・ミュージシャン達は一つにまとまり、やがて一人立ちをすることになる。Totoなる名前をつけたこのバンドは目指す方向が今一つはっきりせず腰の座りが悪かったが、初期の「Georgy Porgy」や「99」などのように口ずさめるポップ路線に落ち着くんだよな結局。アルバム『IV』に至ってようやくそれがはっきりとした。
 ところで「I Won't Hold You Back」でスティーヴ・ルカサーが見せる渾身のソロからは、ボズの「トワイライト~」で輝いたカルロス・サンタナの向こうを張っているのがよく伝わってくる。"決着"をつけたかったんだろうなきっと。なんて想像してみるのも楽しい。

 ルパート・ホルムズについては今一度稿を改め書いてみたい。うん、書いてみたいのだ。書く、とは言わない。言えない(笑)。


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