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Fleetwood_tusk
 いいアルバムだ。

 Fleetwood Mac 『Tusk』 1979年

 1曲目「Over & Over」がいい。普段の私ならいらつくはずの、このあまりにもスローなテンポがなぜか今の私にはしっくりくる。抑えた演奏。淡白にして滋味豊かな音符の流れ。シンプルな詩を静かに運ぶボーカル。そのすべてがいい。

 「Sara」や「Honey Hi」や「Brown Eyes」など他の曲も捨てがたい。山場を作らずフェイドアウトしてしまう「Brown Eyes」の中途半端さは、その半端さになぜか違和感がない。忘れた頃を見計らったかのように時折跳ね上がるドラムス。抑えた流れの中にそのアクセントは絶妙のタイミングで置かれている。

 不思議なのは、ばたんばたん打ち鳴らす一見にぎにぎしい曲にすら「抑え」を感じさせることだ。「The Ledge」しかり。「What Makes You Think ~」しかり。「Not That Funny」しかり。非欧米リズムに乗って転がるタイトル曲でさえそうだ。2分に満たない中を勢いに任せて走る「That's Enough For Me」は例外としても。

 いいアルバムだったんだ。

 この作品を聴いたのは、実はこれが初めてである。ひたすら売れまくった『噂』には馴染めなかった。犬ジャケの次作2枚組、つまり本作には見向きもしなかった。どうせ大したものでもないだろう。私のそんな思い込みは26年の年月を経た今覆されてしまったのである。もしかすると私はフリートウッド・マックというものを初めて知ったのかもしれない。不覚…いや、こういう出会いもあるのだきっと。

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