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マイ・オムニバス VOL.28 前

【墜ちた鷲】 77~79年 1/6

01 今夜決めよう / ロッド・スチュワート
02 チェリー・ボム / ランナウェイズ
03 愛するデューク / スティーヴィー・ワンダー
04 滅びゆく英雄 / スティーリー・ダン
05 ウォーク・ジス・ウェイ(お説教) / エアロスミス
06 宇宙の彼方へ / ボストン
07 ホテル・カリフォルニア / イーグルス
08 ヒューズ / ジャクソン・ブラウン
09 わが心のジョージア / ザ・バンド
10 ダンシング・クイーン / アバ

 ジョーン・ジェット。彼女が在籍していたガールズ・バンド。それがランナウェイズ。…てな紹介は似合わない。わわわ、ガ、ガーターだ。下着まんまだよ。その格好でギター弾いたり、ドラムス叩いてるっ。腰をくねらせ喘ぎ声まで出してるっ。むひょひょ…。ちょ、ちょっと待て。こんなん許さ…ちゅちゅちゅちゅちゅちゅっ、ちぇりぃぼーーむ。くぅーーっ。ええじゃないか。ええじゃないか。もうそれだけで十分だったよ少年には。何が。

 けっ。地味なアルバムだな。「Linda Paloma」あたりを除けばなんだかどれも暗いし。そもそもどの曲がどの曲なのかまるで区別できないじゃないか。ジャクソン・ブラウンちゅうの。ふーん。だれやねんそれ。…などと彼に関する情報をこれっぽっちも持っていなかった少年は、しかしこのアルバム『The Pretender』をその後繰り返し聴き続けてしまうことになる。ピアノ、ドラム、ベースの3つが揃ってすとーんと叩く最初の一音で幕を開ける「ヒューズ」をはじめ、聴けば聴くほどじわじわと何かが染み入ってくる曲だらけだ。なんなんだろその何かって。痛みか。切なさか。詩ではなく、バックの演奏と彼の声だけでどうして入り込んでくる。どうして伝わってくる。不思議なシンガー・ソングライターだ。
 ところでその痛み、切なさのようなものを今に受け継いでいるのがロン・セクスミスだと思えて仕方ない。ただしロンにはその後ジャクソンが打ち出したいわゆるメッセージ性まで受け継がないことを祈る。

 「リキの電話番号」から入った私のスティーリー・ダンは、アルバム『The Royal Scam(幻想の摩天楼)』でとんでもない世界に突入してみせた。ほんのりファンクかました色合いの中に予想を外す妙なコード進行を織り交ぜながらも、こちらを突き放すことをせず、飄々と、しかし堂々とポップ畑を歩いてみせた。もはやどこのだれにも真似できないひとつの極みに達してしまった。
 「Kid Charlemagne(滅びゆく英雄)」はなんといってもその間奏で一世一代のスリルを見せつけたラリー・カールトンのリード・ギターに尽きる。というより、ラリーにそんな入魂のプレイをさせてしまうだけの"麻薬"がフェイゲン&ベッカーの世界にはあったのだと思う。
 彼らスティーリー・ダンについては後日稿を改める。改めたい。改めるかもしれない。…改めるのか。

 ついに出ちまったよイーグルスの代名詞「ほてるかりふぉるにあ」。
 そりゃ「おっ。こりゃカッコいいじゃん。やるなぁイーグルス」とは少年も思ったさ。初めて耳にしたときはね。でもねぇ、なんだかねぇ…。
 前作『呪われた夜』タイトル曲に漂っていた凄み、あるいは例えば「Journey Of The Sorcerer」に盛り込まれたサウンド面での斬新さ、のようなものを少年は期待していなかったか。で、それが見事に裏切られたんじゃなかったか。そうなんだ。彼が求めていたのは「詩」ではなかった。「音」だったんだ。確かに綴られることばの数々は『Hotel California』収録の作品達の方に軍配が上がる。西へ西へ。夢を求めて人々が辿り着いた場所。結局そこには何もなかった。そんなアメリカン・ドリームの終焉だの、先住民族社会の破壊の上に成り立つ楽園の虚構だの…といったテーマを提示したことに異を唱える訳じゃない。でもね、当時彼らに期待してたのはそんなものではなかった。サウンドだったのだ。『呪われた~』に見られた実験性を推し進める革新さであってほしかったんだ。次作『The Long Run』は、だからすっかり色褪せて、というよりもがき苦しんでいるように見えた。彼らは『ホテル~』をリリースした瞬間に終わってしまったのだ。
 力尽きたそんなイーグルスからバトンを受け取ったのは、もしかすると「9.11」の翌年『Yankee Hotel Foxtrot』(2002年)というアルバムを産み落としたバンド、ウィルコなのかもしれない。20数年も経って。

Eagles_thesenights


Eagles_hotel


Wilco_yankee


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