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マイ・オムニバス VOL.27 後

【潮時】 76年 8/8

11 フライ・ライク・アン・イーグル / スティーヴ・ミラー・バンド
12 悲しき慕情 / カーペンターズ
13 愛ある別れ / シカゴ
14 秋風の恋 / イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー
15 悲しきフェルナンド / アバ
16 ホーム・トゥナイト / エアロスミス
17 デトロイト・ロック・シティー / キッス
18 愛の回想録 / ジャニス・イアン
19 ジョージア / ボズ・スキャッグズ
20 メキシコ / ファイヤーフォール
21 時の流れに / ポール・サイモン

 アルバム『Silk Degrees』。有名だろな。ジャケともども。くすんだ海を前にベンチでうつむくボズ・スキャッグズ。ベンチ右手には彼に向けられた女性の指がちょろっと見える。暗いトーンで抑えられた青や緑色ジャケの端に配した赤いマニキュア。細かく見れば女の中指は人差し指と交差している。意味深だ。憎らしいほどに決まりすぎな図である。『Down Two Then Left』といい『Middle Man』といい、おそらく同じカメラマンが手がけたであろう以降のジャケも印象に残るが、この『Silk~』が図抜けている。裏ジャケと併せてみるとこれがさらに…。くしょっ。カッコ良すぎなんだってば。

 で、中味はどうだったっけ。そりゃあなた、もちろんグッドでんがな。なんちゅうても「We're All Alone(二人だけ)」が収録されてるさかい。いろんなシンガーがカバーしたがるメロや詩でっしゃろ。…まぁそうだろな。でもね、こうやってたくさんの手垢がついてしまうとちょっと引くのだよヒネクレモノの腰は。そもそも最初にこのアルバムに出会ったとき一番気に入ったのは「二人だけ」でも「ロウダウン」でも「ハーバー・ライツ」でもなかった。「ジョージア」だったんだ。イントロから弾み出すこの曲はサビでボズに声を裏返させてしまう。その色っぽさったらない。一人暮しを始めた少年の浮き立つ気持ちに共鳴したんだきっと。

 当時、中原理恵というシンガーが歌った曲(タイトル失念)の中に同じメロや展開を見つけてはニタニタするくらい「ジョージア」は刷り込まれたのだった。…ところでこの曲はシングルになっていたのだろうか。はて。


 ファイヤーフォールというバンドは、当時アメリカ西海岸から次々登場しては消えていく名の一つという認識しかない。そのデビュー・アルバムそのものもリズム・ギターのカッティングやコーラスのハモりがもろにウェスト・コーストしていて、今聴くと可愛くて懐かしい。…とか言いながら唯一「メキシコ」が捨て置けないのはなぜだろう。この曲の出色さはどこから来るのだろう。しゃきしゃき刻み続けるアコギか。リズム隊が繰り出す細かな「タメ」と「間」か。そうかもしれない。だがはっきりしていることがある。それはつややかに伸びるリード・ギターだ。このリード・ギターがあればこそCDをずっと探してたんじゃなかったか。その通りだ。今聴いてもまったく鮮度は落ちていない。

 ところでボズの「ジョージア」同様、ファイヤーフォールの「メキシコ」もシングルリリースされたかどうか定かでない。そうなんだ。この頃少年はもうチャートを追うことに飽きていたのだ。吹田のアパートにいる彼が「オール・ジャパン・ポップス20」を遠い四国アイランドからかろうじて届く切れ切れの電波でしか拾えなかった、というのは、だから言い訳にすぎない。少年よ、この番組はもう潮時じゃないのか。DJみのもんた氏の声は雑音電波の向こうにかき消されていった。


 少年よ、もう潮時だ。
 少年よ、東京に行った少女の気持ちを考えてみたか。
 少年よ、大阪を選んだことは正しかったのか。


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