« マイ・オムニバス VOL.23 後 | Main | 魔神にあらず »

マイ・オムニバス VOL.24 前

【ロッくしょー】 76年 1/8

01 ザッツ・ザ・ウェイ / KC&ザ・サンシャイン・バンド
02 ヴィーナス&マース/ロック・ショー / ポール・マッカートニー&ウィングス
03 ダンス・ウィズ・ミー / オーリアンズ
04 夢織り人 / ゲイリー・ライト
05 スカイ・ハイ / ジグソー
06 ボヘミアン・ラプソディ / クイーン
07 フォックス・オン・ザ・ラン / スウィート
08 偽りの瞳 / イーグルス
09 ドリーミー・レディ / T.レックス

 76年か。ロッキードとか桜美林とかってフレーズが飛び交うのはこの年か。…などということとはもちろん関係もなく、少年がヒット・チャートというものへの興味を少しずつ失っていった76年。それはいわゆるディスコやAORの萌芽と無縁ではなかったのだと後々知るのだが。…とカッコつけて言ってみたりする。ともかくそんな音楽シーンのどうのこうのなど田舎に住む当時の純朴なこーこーせーに分かるはずもないだろが。ロンドンの片隅でマルコム・マクラレンという男がパンクという名の爆弾の開発に日夜明け暮れていた云々にいたっては言わずもがな、である。そもそも少年はといえば、進路先やら少女との先行きやらのことで頭を痛めるのに忙しかったのだ。名古屋に行けるのか。京都で手を打つのか。東京を選ぶのか。大阪にするのか。一緒に生活するのか。離れるのか。どうするんだこの野郎。

 ディスコ台風がポップス海を荒らしまくる前。荒らし、もとい嵐の前の静けさってか。には良質なダンス・チューンがいくつもあった。例えば「ハッスル」や「天国を失ったら」や「ザッツ・ザ・ウェイ」といった。こいつらにはまだソウルだのファンクだのブラックな味が残されていたはず。だがそれもいつしか主流ではなくなり、間もなく表舞台から消えてゆくことになる。代わって登場するのはソウルとはおよそ呼びようのないお手軽で甘ったるいブツばかりだった。なんということだ。ポップス海に生ぬるい風がゆるゆると吹いていたんだぞ。台風の前触れだぞおい。一体時代は何をしていたんだ。どこを見ていたんだこの野郎。

 「ヴィーナス&マース/ロック・ショー」というシングルは当時ポール・マッカートニーがポールなりに上げてみせた最後の雄叫びだったのかもしれない。ロックバンドとして。改めて聴き返すまでもなく、収録アルバム『Venus And Mars』の「Magneto ~」、「Letting Go」、「~ Ancient Egypt」、「Medicine Jar」といった中盤のいくつかはいただけない。がしかしこのアルバムはその美味しくないブツにすら以降のアルバムが二度と獲得できなかったごりごり、ごつごつした感触を残している。"Rock shooow!"と叫んでみせたのは、だからポールなりの決着の仕方だったんじゃないか。…とコジつけて言ってみたりする。だとしたなら意味深なタイトルではあるよ。

 今回のオムニバスにはゲイリー・ライトの「夢織り人」、オーリアンズの「ダンス・ウィズ・ミー」、シグソーの「スカイ・ハイ」そしてクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」と話題に事欠かない作品が揃っている。走るキツネの背にまたがりアメリカへ向かうスウィートだっている。確かに揃っている。集まっている。並んでいる。けど思い入れはなく。当時も今も。残念ながら、とはしかし言わない。言えない。

 なにしろ自分の進路や少女のことで少年の頭はいっぱいなのだった。がりれお、がりれお、がりれお、がりれお…。がりれおが何だって。


 ( VOL.23後<< │ >>VOL.24後 )

|

« マイ・オムニバス VOL.23 後 | Main | 魔神にあらず »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11727/3728733

Listed below are links to weblogs that reference マイ・オムニバス VOL.24 前:

« マイ・オムニバス VOL.23 後 | Main | 魔神にあらず »