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マイ・オムニバス VOL.23 前

【アット・セブンティーン】 75年 9/10

01 17歳の頃 / ジャニス・イアン
02 二人はアイ・ラブ・ユー / ジョージ・ハリスン
03 ニューヨーク・ブギー / T.レックス
04 一人ぼっちの十代 / ベイ・シティ・ローラーズ
05 フェイム / デヴィッド・ボウイ
06 ワイン・カラーの少女 / ポール・マッカートニー&ウィングス
07 ブラック・ナイト / ディープ・パープル
08 愛がすべて / スタイリスティックス
09 秋風のバラード / オリビア・ニュートン・ジョン
10 マイ・リトル・タウン / サイモン&ガーファンクル

 17才の頃。
 高校の学園祭の準備に追われていた頃。大怪我をした二人の音楽仲間を残して講堂のステージに立てるはずもない。いいんだ。また来年があるじゃないか。来年はなかった。

 17才の頃。
 出し物のお化け屋敷が教室を非日常空間に変えていた頃。止まらない汗が塩になり学生ズボンに吹いている。コンニャク垂らした竿を握る手も舐めれば塩辛い。それは蒸し暑さのせいではなく、そばにぴたりと寄り添う少女のせいだ。この暗闇が永久に続けばいいと少年は思った。

 17才の頃。
 突然の大雨に学生服やカバンをさらした夏の頃。雨宿りをすることもせず二人は自転車を嬉々と走らせる。信号機の赤にようやく止められたとき、髪はほつれて顔や首にくっついていたけど、それを直しもせずにっこり笑う少女の顔は上気していた。まぶしかった。

 17才の頃。
 港町の七夕祭りの頃。美しかったのはきらびやかな七夕飾りではなく、夜空に咲く花火でもなく、少年が漕ぐ自転車の後ろに乗っている少女の髪と唇と。

 17才の頃。
 元旦の朝を迎えた頃。もういないかもしれない待ち合わせの場所に向かって少年はひたすら走り続けている。30分もずっと待っててくれたのか。ごめん。ぼくの頭にゲンコツひとつやってくれ。小さな握りこぶしは本気で痛かった。

 17才の頃。
 少年が18の春を迎えようとしていた頃。音楽仲間との演奏会はきっとこれが最後だ。見慣れた教室の中、観客は目の前の見慣れた顔、顔。熱かったのは演奏のせいじゃない。込み上げてきたのは音楽のせいじゃない。

 17才の頃。
 18になった少女は東京の大学に行くことになり、
 18になった少年は大阪の予備校に行く決心をする。


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Tracked on Nov 22, 2005 at 16:09

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