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伊達藩をゆく 6

 瑞巌寺、五大堂を後にしていよいよ海に出る。船だ。松島巡りだ。さあ晴空の下出航だ。

 船は桟橋をゆっくり離れていく。うきうき。甲板に出てなんとはなしに水面を見ればたくさんの海鳥がぷかぷか浮いている。カモメかな。みゃあみゃあ鳴くところをみるとウミネコかもしれん。おい、やつらこっちをじっと見てないか。よし、このコンビニのむすびでも投げたれ。賞味期限切れて処分に困ってたんだ。ちぎって投げた…と思うが早いかあっという間にやつらはうじゃうじゃ集まってきた。1羽がぱくりと食った。もうひとちぎり投げた。別の1羽が飛びながら口にくわえた。それを合図にやつらは一斉に飛び立ってこちらに向かってくる。げげげ。なんだこいつら。次々にむすびのかけらを投げる。投げるそばから近づきクチバシでキャッチしては旋回していく。上手いなぁ。曲芸だよまるで。鳥達は後から後から飛んでくる。こうなるともう止まる術もない。さながら豆まきのように旅の一行は投げまくり、鳥達はぱくぱく食った。船はとうに沖合いに出ていたし、美しき島々のそばを通っていたはずだが、一行はここがどこだかすでに忘れている。松島巡りはどうなったんだ。

 3階建て遊覧船の2階グリーン室に席を取ってもらっていたのだが、どうも様子が変だ。他の客が見当たらない。従業員らしき人がときおり歩くだけだ。ふーむ。もしやこのグリーン室って私達だけか。もしそうならなんだかリッチ。どれどれ下の階の混雑ぶりでも見てやるとするか。階段を下りてみる。たんたん。きょろきょろ。…はて。おいおいこっちもいないぞ。なんで。ビールを注文したカウンターのおばちゃんがけろっと言う。「お客さん方が乗らなければこの船は出ませんでしたよ」。げげっ。貸し切りってか。6人で。ほんまかいな。350人乗りだぜこの船。ということはだ。3階一等室もオール空席ってことだ。「なんなら上の階に行ってもいいですよ」。むははは。一行が先を争って3階へダッシュしたのはいうまでもない。冷えたビール片手に回転ソファにふんぞり返る旅の一行はここに至り、松島の景観をもはや完全に忘れ去ったのである。

 夏草や…。じゃなかった。
 松島や 戯れものどもが 宴のあと

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