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マイ・オムニバス VOL.22 後

【走れエアロスミス】 75年 8/10

11 闇夜のヘビー・ロック / エアロスミス
12 ブルーバード / ヘレン・レディ
13 グッドナイト・ウィーン / リンゴ・スター
14 ソリテアー / カーペンターズ
15 ビー・バップ・ア・ルーラ / ジョン・レノン
16 恋するヤング・ガール / スージー・クァトロ
17 アイ・ドウント・ノウ・ホワイ / ローリング・ストーンズ
18 スウィート・マキシン / ドゥービー・ブラザーズ
19 瞳は君故に / アート・ガーファンクル

 一人でできるカードゲームか。それをキーワードに男の背中を描写するストーリーに仕立てたコンポーザーの腕たるや。が、ゆっくりなぞるカレンの湿り気を帯びたボーカルあればこそ。カーペンターズの「ソリテアー」。両者が出会わなければ生まれなかった歌のマジックがここにはある。それにしてもカレンに対するエンジニア君のボーカル録りが相変わらず生々しいのはどういう訳だ。

 ストーンズとスティーヴィー・ワンダー。どこでどう結びつくんだ。そんな取り合わせなんか想像できるもんか。ありえないよ。…あったのだ。この「アイ・ドウント・ノウ・ホワイ」ほど艶かしい一瞬をとらえた彼らのレコーディングはない。突如ラジオから流れ出てきたこの色気に慌てた少年はそれがどのオリジナル・アルバムにも収録されていないと知り、その艶かしさともども悶々とするしかなかった。やや、こんなところに収録されてたのか。あ、あんなところにも。悶々から解放されたのはそれから数年先のことになる。もうやだもんもん。

 エアロスミスの『Honkin' On Bobo』(2004)をさっきから聴いている。もう3巡目だ。なんなんだこいつらの一向に衰えないテンションの高さは。密度の濃さは。がらがら咆哮するスティーヴン・タイラーの喉といい、ざくざく地を削るジョー・ペリーのギターといい。一体全体どこから涌き出てくるんだこのエネルギーは。30年前の再現云々という次元で語ることに意味はない。1曲を除いたすべてがカバー集だよん、なんて紹介も、だからそれがどうだというんだ。いつになく古のアメリカ南部を覆う濃いブルーに染められていようがこれはまがいもなくエアロスミスそのものである。エアロスミスという塊が塊として21世紀の今もここにある。ロックスだよ。原石だよ。洗練されてたまるか。枯れてなんかやるもんか。
 そうか。あれからもう30年が経つんだ。始まったかと思ったらあっという間にトップギアにシフトしそのまま最後まで疾走し、スティーヴンのシャウトが縦横無尽に駆け抜けるあのスピード感。少年がそのシングル「闇夜のヘビー・ロック」に往復ビンタを張られてから30年になる。効いたよあれにゃ。いわゆるサザン・ロックを除けばほとんどブリティッシュ一辺倒だった少年はもはやアメリカ大陸に下駄を鳴らしてヤツが来るぅ硬派なぞいるはずもないと思い込んでいたのだ。そこをヤラれた。いたのだ鉄下駄履いた連中が。張られたビンタの感触がまだ残る翌76年、やつらはもう次のアルバムを引っ提げて再びやってきた。『Rocks』という名の。今度は往復ビンタどころではなかった。
 その直後から、しかし長い冬眠に入ることになるのだけど。途中『Permanent Vacation』や『Pump』あたりで少し目覚めたかに見えたが、見えただけだ。そうなのだ。21世紀のこれは再現ではない。目覚めなのだ。このまま行っちまえエアロ。

Aero_honkin


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