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マイ・オムニバス VOL.17 後

【中古のムスタング】 74年 8/11

11 緑の風のアニー / ジョン・デンバー
12 リキの電話番号 / スティーリー・ダン
13 スティングのテーマ / sound track
14 キープ・オン・トラッキン / エディ・ケンドリックス
15 アイ・ショット・ザ・シェリフ / エリック・クラプトン
16 トゥー・ビッグ / スージー・クァトロ
17 イッツ・オンリー・ロックンロール / ローリング・ストーンズ
18 恋のウー・アイ・ドゥー / リンジー・ディ・ポール
19 ライト・オブ・ラブ / T.レックス
20 愛はメッセージ / スリー・ディグリーズ&MFSB
21 人生なんてそんなもの / スリー・ドッグ・ナイト

 「ドゥー・イット・アゲイン」なんて好きじゃなかった。が、「リキの電話番号」を彩る甘美な果実とよく練られた構成、そつがなくバランスのとれた演奏、そのくせどこかしらとぼけた味わいが私の首をぐいっとスティーリー・ダンへと90度向かせたのだった。痛てっ。収録アルバム『プリッツェル・ロジック』やほんのりファンクかました『幻想の摩天楼』の凄さを知るのはもう少し先のことになるが、今思えばアメリカン・ロックの奇形、異形、孤高なるこのユニットにハマってゆくその第一歩だったのは間違いないここが。

 謎だ。エリック・クラプトン「アイ・ショット・ザ・シェリフ」のイントロにあった拳銃音はどこに行ったんだ。もう30年も経つというのに謎のままである。アメリカのラジオ局が流すその曲は"バキュバキューン"で始まっていたのだよ必ず。信じてくれよぉ。そうか。アルバム・バージョンなんだなきっと。…うーん、違うな。そうだっ。輸入盤があるじゃないか。…むー、こちらにも挿入されてないぞ。なんだったんだよぉあの発射音は。教えてくれよぉ。で、なまけものが立てた仮説は「現地のラジオ局が仕掛けた効果音」説なのだが、さて。…だ、誰に確かめたらええの。

 いわゆる演歌の中で数少ないお気に入りに小林幸子の「思い出酒」がある。"あのひとぉお"から"どぉおしてぇえ"に進むときのメロディ。起伏。ここがどうにも引っ掛かる。その一ヵ所だけなのだが、とにかく気持ちがいいのだ妙に。どぉおしてぇえ。この気持ち良さはジョン・デンバー「緑の風のアニー」の一部とシンクロしている。少々苦手なジョン・デンバーの作品中、この「~アニー」とライブ・バージョン「素晴らしきカントリー・ボーイ」の2つだけは今でもしっかり抱きかかえているぞ。どうだ。他?他は故郷に向かう道すがら捨ててきた。陽射しが肩にきつくてさ。御免っ。

 ありゃりゃ、なんてこった。これほどカラフルな大変身を遂げるとは。コケティッシュだの小悪魔だの、そりゃ確かに少年はどきどきもしたさ妄想もしたさあの甘い声で"しゅがみぃ"だなんて囁かれた夜にゃ。彼女リンジー・ディ・ポールは、しかし、そんなレッテルを貼られてすぐに飽きられるだけのシンガーではなかった。それを跳ねのけるだけのナニモノカを持ち合わせていたのだ。そうなのだ。シンガーとして、ミュージシャンとして彼女は大輪の花を咲かせたのだ。花開かせたのは間違いなくこの良質な楽曲「恋のウー・アイ・ドゥー」だ。シリア・ポールが大滝詠一作「夢で逢えたら」で花開いたのと似ている。

 スミス・ファミリーのメンバーは全部で5人。愛するピーターにはティムとリック、高校生と大学生、二人の兄貴がいる。そしてママとパパ。知人に会うたびこの子は4人目の息子だと私をいつも紹介してくれたのはママ、マリリン・スミスだ。彼女のお気に入りは「スティングのテーマ」に跳ねる軽快なピアノだった。大リーグ、ミルウォーキー・ブリューワーズの試合に連れていってくれたのはパパ、リチャード・スミスである。彼は音楽よりもビールと昼寝が好きだった。イビキがまたデカイんだ。17才のティムはサングラスをかけにたりと笑い幌を外した愛車ムスタングをかっ飛ばす。カーラジオのスイッチは入れっぱなしである。「恋のハートビート」、「ロック・ユア・ベイビー」、「僕の瞳に小さな太陽」。そんなこんなが繰り返し流された。今回アップした「緑の風のアニー」、「リキの電話番号」、「キープ・オン・トラッキン」、「スティングのテーマ」、それに「アイ・ショット・ザ・シェリフ」。こいつらだってがんがん鳴らされていたのだ確かに。長兄リックが下宿する州都マディスンまでつづくトウモロコシ畑ロードに。ちょうどサンタナが公演中だったミルウォーキーまでのハイウェイに。
 日本から来た少年が最新ヒットを聴くのはいつも助手席だったのだ中古のムスタングの。アメリカはウィスコンシン州の片田舎の青空と風。74年の夏。永久に色褪せない夏。


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Comments

スティーリー・ダンいいですよね!
ここで特集やってますよ!
http://www.ongen.net/

Posted by: 辻 | Jun 01, 2005 at 09:40

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