« マイ・オムニバス VOL.16 後 | Main | めざせ大阪港 »

マイ・オムニバス VOL.17 前

【石油ショックがどうした】 74年 7/11

01 ロックンロール黄金時代 / モット・ザ・フープル
02 天使のささやき / スリー・ディグリーズ
03 スウィート・ホーム・アラバマ / レーナード・スキナード
04 サンダウン / ゴードン・ライトフット
05 エクソシストのテーマ / sound track
06 ロック・ユア・ベイビー / ジョージ・マックレー
07 僕の瞳に小さな太陽 / エルトン・ジョン
08 シュガー・ベイビー・ラブ / ルベッツ
09 輝ける七つの海 / クイーン
10 シャイニン・オン / GFR

 はっきり自覚した。私はこの手に弱い。「20センチュリー・ボーイ」、「ブラウン・シュガー」、「明日なき暴走」、「真夜中を突っ走れ」…。そうなのだ。サックスがヤラしく絡む怒涛のロックンロール。この手にからしき弱いのだ。この「ロックンロール黄金時代」も例外ではない。見事に押してくるのだ私のツボを。あ、そこ。そこなの。最初から最後までうなり続けるサックス。飛び跳ねるピアノ。イアン・ハンターを追っかけまわす女性バック・コーラス陣。ずぶずぶと猥雑きわまりない。あ、そこ。もっと。「すべての若き~」など知らなかった少年にこうしてモット・ザ・フープルはこの一曲を引っ提げて強烈なパンチを食らわしたのだった。ノックアウトなのだ。

 黄金律。なんだそりゃ。また適当なことばを持ち出したりしておまえは。宗教か美術用語になかったかそんなん。んじゃ黄金の旋律とでも言いかえよう。「シュガー・ベイビー・ラブ」に噴出するこの甘美をなんと表現したらいいのだ。まばゆく光り輝く黄金色の旋律。やっぱこれだよハニー。これあればこそつづくシングル「トゥナイト」という二番煎じも二番煎じにならないのだ。なんだこの説明。曲の組み立てがあまりにもお約束的で出来過ぎなきらいはあるものの、このきらめく黄金から逃げることはできまい。
 毛色は違うがアバの「ダンシング・クイーン」にも同じナニモノカは受け継がれている。

 前年(73年)の石油ショックの影響をまともに受けたイギリスの音楽業界は新人のレコードに金をかけられない。そんな話をどこかで聞いたことがある。ほんまかいな。そかそか。だからクイーンの1stと2ndアルバムの音はこんなに悪いんだ。当時の少年は素直であった。荒削りさは音楽だけじゃなくレコーディングにもあるんだ、なんてね。実際1st『戦慄の王女』はまるでダンボール箱の中でボコボコ鳴っているようだし、2nd『クイーンII』は出だしから音が分離せずべちゃっとしてるし。そんなこんなを差し引いても、しかし、彼らの繰り出す音にヤラれたのは確かなことなのだ。「炎のロックンロール」には襟元つかまれて揺さぶられたし、今回の「輝ける七つの海」には審判の目の届かないところでぶん殴られたあと投げ飛ばされたし。一本っ。その後この「輝ける~」を越える彼らのシングルは私の前についに現れなかった。
 ところで収録アルバム『~ II』B面が息つかせることなく展開しこの曲で終わる姿もいい。このB面の流し方はビートルズ『アビー・ロード』のそれに勝るとも劣らない。これを圧巻と呼ばずなんと呼ぶ。

 左手でアーティスト。右手でポップ・スター。…自らの信じるまま貪欲に音楽畑を耕し、広げ、時代の切っ先を進みながら、同時に良質のシングルをこれでもかと提供し大衆を楽しませつづける。こんな芸当ができたミュージシャンに誰がいる。60sは文句なくビートルズだが70sは…。T.レックス?そう答えたいのはやまやまだが、違う。エルトンだ。エルトン・ジョンその人だ。70年代という大海にあって、彼ほど時代の波に乗り、人々に愛され、苦しんだミュージシャンを私は他に知らない。
 さて「僕の瞳に小さな太陽」である。彼のピークだと私がそう思う時期にリリースされた品の一つである。例えば「クロコダイル・ロック」や「土曜の夜は僕の生きがい」といった"動"に対する"静"とでもいうか。その"静"路線のNo.1なのだこの「僕の瞳に~」は私にとって。「グッドバイ・イエロー~」や「ダニエル」よりも。ただ最初の1分くらい音が小さいので車中やにぎやかな町中では、「おいおいエルトンが流れてるぜ」「え?どこどこ」状態となりしばし息をひそめなければならない。んが、それでもよろしおま。エルトンという完成形。至福の5分半がここにある。
 彼のことについてはいずれ稿を改め正面から書いてみたい。書くかもしれない。書かないかもしれない。


 ( VOL.16後<< │ >>VOL.17後 )

|

« マイ・オムニバス VOL.16 後 | Main | めざせ大阪港 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11727/1243275

Listed below are links to weblogs that reference マイ・オムニバス VOL.17 前:

« マイ・オムニバス VOL.16 後 | Main | めざせ大阪港 »