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マイ・オムニバス VOL.13 前

【I ENJOY EVERY SANDWICH】 73年 10/11

01 ランブリン・マン / オールマン・ブラザーズ・バンド
02 天国への扉 / ボブ・ディラン
03 友に捧げる讃歌 / アート・ガーファンクル
04 ハーフ・ブリード / シェール
05 ビコーズ / レターメン
06 チャイナ・グローヴ / ドゥービー・ブラザーズ
07 グッドバイ・イエロー・ブリック・ロード / エルトン・ジョン
08 48クラッシュ / スージー・クァトロ
09 私はシャンソン / ダニエル・ビダル
10 冷たい仕打ち / ELO

 「明日に架ける橋」を渡った向こう岸、まるでお約束のように待っていた旋律だな「友に捧げる讃歌」は。どんなに詩が良かろうと、このあまりにも高らかで大袈裟なアレンジには閉口してしまう。収録アルバム『Angel Clare』を思い出すとき、最も思い出したくない曲である。「青春の旅路」後半に畳みかけるバック陣と「I Shall Sing」に鳴る非欧米なリズムやメロディが救わなければこのアルバムは忘れていた。

 「サザン」でくくられたロックが好きだった。オールマンもマーシャルもチャーリーもレーナードも。みんなみんな贔屓筋だった。30年後の今、私がUncle Tupeloという幹から大きく張った枝や咲かせた花、実らせた果実に魅了され続けているのは、バーズやグラム・パーソンズが好きだったからではない。あるいはPhishという母船やそこから離着陸を繰り返す戦闘機に惹かれ続けるのは、グレイトフル・デッドにイカれていたからでは決してない。「サザン」ロックがあったからだ。ここ10年ほどアメリカの音楽大陸に流れる大河のひとつアメリカーナの、私にとっての根っこは「サザン」にこそある。
 オールマン・ブラザーズとの初対面は、デュアンはじめ度重なるメンバーの死を振り切って蘇る『Brothers And Sisters』になる。ディッキーの甘さとグレッグの弛みが微妙なバランスを保つことで成り立つこの作品はB面最後の「ジェシカ」に尽きた。ドライブ感みなぎるスピーディな"起承転ふたたび起"な構成と魚のように飛び跳ねる各楽器のアンサンブル、加えて耳から離れない旋律。この「ジェシカ」に嬉々としていたリアルタイムの少年つかけんには、A面で鳴ってたはずの「ランブリン・マン」なぞ甘く軟弱なブツだとしか思えなかった。この曲の後半2分間に凝縮されていたスリルに気づくまで要した月日の長さは、故デュアンが走り抜けた人生のそれに匹敵するかもしれない。甘いのはおまえだつかけん。

 もうすっかりご無沙汰だ。いまだ現役でがんばってるらしいが、今となっては綴られるただの懐かしい文字表記にすぎない。マイケル・マクドナルド加入前の短い期間、「サザン」とはまた別の土臭さを嗅がせたドゥービー・ブラザーズの世界に、しかし、私がぞっこんだったのはまぎれもない事実なのだ。「チャイナ・グローヴ」。「ブラック・ウォーター」。「アナザー・パーク」。「君の胸に抱かれたい」。「スウィート・マキシン」。そんなこんながラジオから流れ出てくるときのときめきったらなかった。彼らがいなければ、後の例えばThe Black CrowesやにっぽんのThe Changに辿り着かなかったのだろう。もしかしてPhishにも。そういう意味において重要なバンドだったんだ。「Rio」に代表される後期の流麗さや洗練さは別として。

 肺癌で他界する直前にWarren Zevonがリリースした『The Wind』(2003)で唯一収録したカバーがディランの「天国への扉」である。って、これを書きながら聴いている、というより聴きながら書いている。どこぞのドラマや映画を連想させる余命数ヶ月の宣告は彼にとってフィクションではない。その現実を自ら公にし、アルバムを作り、50才余のおじいちゃんになることに間に合ったのだ。「扉」を叩く前に。

 ジム・モリスンのような生き方を選んだはずなのに
 30年以上余計に生き延びた。
 自分で選んだならそれがもたらす結果を受け入れなくちゃね。

 僕が元気そうに見えるって? 化粧品にだまされるなよ(笑)。

 君が知らない何かを僕が知らないかって?
 そうだな。I enjoy every sandwich.

                           ─ Warren Zevon

Zevon_wind


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