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黄金旅風

 教会のセミナリオに入学させられた小僧二人。講義はおろか日課や規律なぞ糞食らえ。弱い者いじめする年長者どもを半殺しだと。手のつけられない二人の悪童はその後、かたや南蛮人との刃傷沙汰に明け暮れ、かたや酒や女に溺れる不肖者と呼ばれるとな。才介と平左衛門。いいなぁこの二人。

 やがて刃傷沙汰好きは請われて内町の火消組惣頭となり、不肖者は不審な死を遂げた父カピタン平蔵の後を継ぎ長崎代官となる。あの暴れ者が、あの大うつけが、な声は私心無き清々しさや思慮深くかつ大胆で的確な行動を賛美するそれに取って代わり、気がつけば二人は長崎町民の人気者だぁ。いいなぁこの展開。

 大御所秀忠から家光へ。奉書船貿易を経て鎖国体制秒読みへ。そんな内外の時代の生々しい空気をバックに配しながら重厚かつ細緻なタッチで進むこの作品には爽快感と寂寥感が同居している。飯嶋和一が得意とする市井の人々と抗えない巨大権力側とのコントラストはここでも健在…といいたいところだが、『始祖鳥記』や『雷電本紀』と比べるとちょっち曖昧だな。そこだけが惜しい。だがしかし、村上春樹にうんざりし、白石一文に少々肩透かし食らった後に読んだのが幸いだったのだ。この『黄金旅風』は堪能させてもらった。気分いい。

 さあ行くぞ長崎
 行けるといいぞ長崎
 い、行けるのか長崎

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» 「黄金旅風」 [中空庭園]
飯島和一「黄金旅風」を読んだ。 1988年のデビュー作「汝ふたたび故郷へ帰れず」 [Read More]

Tracked on Jun 26, 2004 at 01:56

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