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マイ・オムニバス VOL.11 前

【デオダートはかく語りき】 73年 6/11

01 僕のコダクローム / ポール・サイモン
02 愛する歓び / カーリー・サイモン
03 夜をぶっとばせ / デヴィッド・ボウイ
04 ツァラトストラはかく語りき / デオダート
05 モーニング・アフター / モーリン・マクガバン
06 ギブ・ミー・ラブ / ジョージ・ハリスン
07 コラソン / キャロル・キング
08 いとしのルシール / トム・ジョーンズ
09 イェスタデイ・ワンス・モア / カーペンターズ
10 シャンバラ / スリー・ドッグ・ナイト

 今回のラインアップに思い入れの強い品々はあまりないなぁ。ポール・サイモンならニコンのカメラより「アメリカの歌」だし、映画『ポセイドン・アドヴェンチャー』は心に引っ掛かっていないし、あんなに力強く大地を踏みしめしっかと立っていたジョージ・ハリスンの足はなにやら急にあちらの世界を歩き出したし、「イェスタデイ・ワンス・モア」ならもしや永遠にNo1の座を明け渡さないのじゃないかと少年をいらつかせたし。あ、トム・ジョーンズの「いとしのルシール」は今聴いても十分セクシーだな。っても、タイプじゃないぞ。ふりふりした男の尻に興味はないのだ。

 そんな中にあってデヴィッド・ボウイの「夜をぶっとばせ」にはしっかり投げ飛ばされてしまった。と今一度ここで書かねばならない。風切るあの疾走のエンディングに踏まれる強引なブレーキングと急ターン、そして直後の急発進ったら。鍵を握るのは誰がなんと言おうとスパイダースの面々と、忘れちゃならないジャズ・ピアニストMike Garsonが鍵盤に叩きつけた不協音に間違いはない。このピアニストには興味を引かれるのだ。今頃になって。

 キャロル・キングなら名盤『つづれおり』でしょうがアンタ。そんなセリフについぞ一度たりとも「うんそうだね」とは言わなかった私にとって、彼女とは「コラソン」であり、「ジャズマン」である。アルバムなら『Fantasy』か『Wrap Around Joy』あたり。後追いの『Really Rosie』と再発された気配が見当たらない『Simple Things』もお気に入りなのだが、リアルタイムの「コラソン」には敵うまい。ラテンなそのタッチは異色に違いないだろうにもかかわらず。それにしても『つづれおり』の一体どこが名盤なのだ。

 当時まだフュージョンなる呼称は存在しない。クロスオーヴァーというそれすら生まれていなかったと思う。そんな時代、アメリカでもなくイギリスでもなく、日本から最も遠い南米の国で着々と芽吹いていたのだそのジャンルは。クラシックやラテンやジャズの要素が云々とでしか紹介されることのなかったデオダートによって。およそシングルらしからぬインスト「ツァラトストラはかく語りき」出だしの高揚感。決して速いとは呼べないテンポで進むくせに漂う緊張感や訪れるスリル。そこを縫う主題の繰り返し。部屋で寝転がって聴こうが、長い道を転がす車で流そうが、そのスリルを損なうことは決してない。収録アルバム『Prelude』は必聴である。もうとうに"クロスオーヴァー"も"フュージョン"も死語となった今こそ。

Deodato_prelude


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