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マイ・オムニバス VOL.10 後

【アラン・ドロンがいっぱい】 73年 5/11

10 ゲット・ダウン / ギルバート・オサリヴァン
11 ハレルヤ・デイ / ジャクソン5
12 恋する年頃 / ダニー・オズモンド
13 ウィスキー・ウィスキー / リタ・クーリッジ
14 愛する人 / ロギンス&メッシーナ
15 レッツ・プリテンド / ラズベリーズ
16 甘い囁き / ダリダ featuring アラン・ドロン
17 カモン! / スレイド
18 オーブレー / ブレッド

 前シングル「ママはダンスを踊らない」についていけなかった少年にとって、甘いのに甘ったるくない絶妙なサジ加減を施され、コーン油でさらっと揚げられたこの「愛する人」こそ彼らとの長いつきあいのスタートになる。彼らロギンス&メッシーナについては別稿でアップしたので、そちらにどうぞどちらさまもずずーいと。

 このオムニバス・シリーズ全600曲がたとえ30曲に絞られようが必ず残すとここで宣言した「ゴー・オール・ザ・ウェイ」。と比べても遜色の全くない「レッツ・プリテンド」。これも残すぞ30選に。おいおい、いいのか2/30をラズベリーズに与えて。いいのだ。いいものはいいのだと昔から決まっているのだばかもの。ふはは。振りほどいても振りほどいても耳からはがれ落ちない不朽の旋律とはこういうものだ。振り払っても振り払っても胸からこぼれ落ちない不滅のメロとはこういうものだ。永遠の少年少女に、永遠に刷り込まれる甘酸っぱさ、切なさとはこういうものだ。

 おっ。ギルバートの「ゲット・ダウン」じゃないかい。いつだったか、近所の小学校グランド脇を通ったとき突如耳をかすめたこのメロディには面食らった。と同時に、なんだかこそばゆくもなった。運動会でやるダンスかなにかの練習だなきっと。やるじゃねえか近頃の小学校もよぉ。などとうひうひすること数秒間。すぐさまその旋律は妙な展開を見せるのであった。なんのことはない。キン肉マンのテーマだったのである。たわけっ。こうしてわずか数秒の間に驚き→喜び→再び驚き→怒り→落胆を味わい、その場に呆然と佇む男に気づくこともなく、グランドでは子ども達が元気良く練習を続けていたに違いない。

 例えばTake Thatから巣立つが早いか、『Green Man』でいきなり豊潤な音楽性を花開かせたMark Owenがいる。JPOPなら、たのきんトリオの野村義男がかろうじてそうだったかもしれない。彼らは数少ない"例外"なのだ。
 いわゆるアイドル・グループのメンバーがソロとなり、野心的な音楽のフィールドへと羽ばたいていくことは並大抵のことではない。アイドルという呪縛とはかくも重いものなのだ。「恋する年頃」の甘ったるさに身を投じる術しか持たされなかったことに辟易としていたのは他ならぬダニー・オズモンド自身だったはず、だと思いたい。今も活動を続ける息の長いシンガーである彼はすでに呪縛から逃れ、思う存分自分の表現したかったであろう世界を見せているはず、だと思いたい。もう30年近くの時が流れている今の私はそう願いながら、なぜためらう。それを確かめることを。なぜ聴いてみない。『This Is The Moment』や『Somewhere In Time』を。

 「悲しみの兵士」を歌うシルヴィ・バルタンに近寄っては何か喋り、消えていく男の図。には残念ながらときめかなかったが、こちら「甘い囁き」で絡み合うダリダとアラン・ドロンの図には参っちまった。"囁き"とは名ばかりの大きな喋りは、これは当時のドロンのネーム・バリューや、したがって当然のようにそうせざるをえなかったであろう彼のアフレコや、を差し引いても流石としかいいようがない。これはフランス・ポップス界が産み出した宝石に数えられていい。声による絡み合いから醸し出される男と女の駆け引き、スマートさ、洒落っ気、隠されたすけべ心、そしてフランス語音が持つ響きの心地良さ。この作品に勝るそれらをいまだかつて私は知らない。ダリダのサビ、「ぱろーれぱろれぱろーれー」とか、ドロンの「*@§☆★えくせせるうぇる」とか「んふっ」とか「けちゅえぺー」なんかを必死になって真似していたのは、あれはどこの小僧だ。
 ところで、日本人のだれかさんお二人がこれを日本語で歌いレコードまで出したことをそこのきみは覚えているだろうか。日本人である当時の少年はその日本語の囁きが恥ずかしく、まともに聴けなかった。笑うしかないのだ。


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