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スレイド 2つの世界

Sladest

 悪友Sが中学時代にハマり、そのおよそ20年後にようやく私が追いつくスレイド。のベスト盤『Sladest』を引っ張り出してみる。

 彼らは二つの世界をこしらえたように写るのだ私の目には。一つは、とっちらかったように見せかけながらヤらしく、それでいてシンプルに迫る「Goodbuy T'Jane」とか「Cum On Feel The Noize」路線とでもいうか。このエリアには「Mama Weer All Crazee Now」や「Skweeze Me, Pleeze Me」も当然含まれる。その多くがシングルとなり、彼らの名を知らしめた、なんておまえに言われるまでもないってか。そだね。この安っぽく、しかし強いアクがツボをぐいっと押さえた、なんてのにヤラれたのが何もSや私だけでないのは、80年代に例えば「Cum On ~」をほぼ忠実にカバーし脚光を浴びたクワイエット・ライオットを見ても明らかで…てなことも何をいまさらってか。ふは。それにしてもタイトルに見る英語のつづり遊びは後のPrinceだけじゃなかったんだね。

 順序が逆になるのだが、彼らスレイドが開拓していたもう一つのエリアは初期にある。最初にそれを気づかせてくれたのが「One Way Hotel」という一品である。先述のヤらしくもシンプルな色合いとは明らかに違う。静かなイントロに導かれた軽やかな音はたびたび訪れるコード変更、そして多楽器の嵐と激しいコーラスの上昇によって妙な力を保っている。このパートの激しさは、後期ビートルズも持ち合わせていた。というより、スレイドが彼らに影響された、という方が正しいのだろう。「Pouk Hill」のドラムス叩いているのがひょっとしたらリンゴ・スターじゃないかと一瞬勘違いさせてくれるし。とにもかくにも、こいつらただのヒットメイカーじゃないのか、という私の思い込みに気持ちよくビンタを張ったのが、構成に一工夫も二工夫も凝らしたこの手の路線なのである。他にも「Know Who You Are」や弦楽器が縦横無尽に鳴り続ける「Coz I Luv You」がいい味を出している。こちら初期のエリアは深い。

 彼らスレイドはその後80sで息を吹き返し、カミカゼなんとかという作品をリリースするなど気を吐くことになるが、そこから先どうなったんだろ。いずれにしても、騒々しく賑々しくも楽しさに満ちていたチープな路線に戻ることはもうあるまい。アーティスト然としていたと私がそう思う初期の深いエリアに戻ることはさらにあるまい。他のどのバンドやミュージシャンがそうしないのと同じように。

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