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マイ・オムニバス VOL.10 前

【ロイ・ウッドをぶっ飛ばせ】 73年 4/11

01 迷信 / スティーヴィー・ワンダー
02 カリフォルニアへ愛を込めて / アルバート・ハモンド
03 ベートーベンをぶっ飛ばせ / ELO
04 俺達のアメリカ / シカゴ
05 幸せの黄色いリボン / ドーン
06 スペース・オディティ / デヴィッド・ボウイ
07 恋のため息 / リンジー・ディ・ポール
08 マイ・ラブ / ポール・マッカートニー&ウィングス
09 ウーマン・フロム・トーキョー / ディープ・パープル

 映画『幸せの黄色いハンカチ』を指揮した山田洋次が封切4年前にリリースされたこの曲を聴いてない訳ないだろが。などとぶつぶつやってたことを思い出すドーンの「幸せの黄色いリボン」。歌詞を読めばもう丸ごとそのままだよ、そのまんま。リボンがハンカチに変わっただけだ。樫の木がボロ家に変わっただけだ。それにしてもこの手のストーリー展開には閉口する。こうも安直に私を泣かせるのだから。浅田次郎の著作『天国までの百マイル』みたいに。
 だからといってイラク派遣見送りに使うのはどうかと思うぞ黄色いハンカチを欧米スタイルで。使えよ日の丸を。日章旗を。って言う資格はないのだけど私には。ぶつぶつ。

 『Where I'm Coming From(青春の軌跡)』や『Music Of My Mind(心の詩)』で慣らし歩行を終えてしまったスティーヴィーは、この頃すでに標高1万メートルの頂へと向かい始めていたのだまだ誰一人として極めたことのない。彼はみるみる1000メートル地点に到達した。それが『トーキング・ブック』であり、地上に放った第1報こそ「迷信」であった。このメッセージを受け取ったのはなにも音楽ファンだけではない。数多のミュージシャン達ですら彼の登山を見守り、第1報をしっかりキャッチしたに違いない。誰よりもまずこの1000メートル到達に付き合ったJeff Beckがそうしたように。悲しいことに、しかし、当時の少年はこの曲をナメていたのだよ。「迷信」なんか信じようとはしなかった。今思えば、少年のアンテナはまだ埋もれていたんだ。

 ジェフ・リンが花開かせる、後のきらびやかなELOワールドがほんのり芽吹いているも、前作だけで一脱けた奇才ロイ・ウッドが染めた色合いから脱け出せなかった時代の彼ら。ELOよりエレクトリック・ライト・オーケストラという長ったらしい呼称がまだしっくりしていた頃。『オールジャパンポップス20』第3位発表の幕開けにそのイントロが使われ、刷り込ませた「ベートーベンをぶっ飛ばせ」。が、彼らの意図は"Roll over ROY WOOD"にこそあったのかも。ウィザードという自身のバンドもろとも忘れられていくロイを尻目に、めきめきと頭角を現していったジェフはそれを果たすことになるのだが、今の私をそそるのは忘れられたロイの歩みの方である。火をつけたのがここでも取り上げたAnnie Haslam『不思議の国のアニー・ハズラム』だったのだ。

 なにこれ。え?レコード引換券? どうしてそんなものが鼻垂れ小僧の手の中にあったのか。へっ。この際そんなことはどうでもいいのだ。とにかく生まれて初めてEP盤といふものをゲットできる。そのわくわくどきどきがこの紙切れ1枚の中に詰まってゐる。向かうしかないだろがレコードショップへ。それっ。っと、何にする。えへらへら。まだ見ぬウェストコーストへの憧憬をかきたてるアルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」だな。これしかないっ。がだんーぼーだうぇすばうんーせぶん…。うきうきした手が引き抜き、レジへと持っていったのは、次のシングル「カリフォルニアへ愛を込めて」の方だったのだしかし。ふはは。新し物好きというか浮気心はすでに芽生えていたのだ。変わり身の速さはこの頃から始まっていたのだ。
 こうしてアルバート・ハモンドは「オバQ音頭」なんかのソノシートと仲良く並んで、おもちゃみたいなスピーカー内蔵プレイヤーのテーブルに乗せられることとなる。ステレオ装置などビンボな少年の家には必要のないものだったのだ。しくしく。


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