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マイ・オムニバス VOL.7

さぁさぁ、皆のお待ちかねオムニバスの第七巻だっ。
くどくど書くのが好きなつかけんの登場だよん。
あ、か、帰らないで。

【イタリア南部の太陽と暗闇と】 72年 4/5

01 シーモンの涙 / イングランド・ダン&ジョン・フォード(・コーリー)
02 ゴッドファーザーのテーマ / アンディ・ウィリアムス
03 灰色の朝 / ブレッド
04 愛にさよならを / カーペンターズ
05 ハイウェイ・スター / ディープ・パープル
06 ラン・トゥ・ミー / ビー・ジーズ
07 渚の想い出 / ミシェル・ポルナレフ
08 ギター・マン / ブレッド
09 涙の滑走路 / グラス・ルーツ
10 ゴー・オール・ザ・ウェイ / ラズベリーズ
11 安息の日々 / ユーライア・ヒープ
12 ポップコーン / ホットバター
13 ハッピー / ザ・ローリング・ストーンズ
14 明日の風 / バッドフィンガー
15 愛の休日 / ミシェル・ポルナレフ
16 チルドレン・オブ・ザ・レヴォリューション / T・レックス
17 バーニング・ラブ / エルヴィス・プレスリー
18 スクールズ・アウト / アリス・クーパー
19 スターマン / デヴィッド・ボウイ
20 エミリー・エミリー / サイモン&ガーファンクル
21 タイト・ロープ / リオン・ラッセル
22 サテンの夜 / ムーディ・ブルース

 イタリアン・マフィアってすげえぞ。格好いいぞ。そんなセリフの一つも吐いてツヤつけたいがためだけに見に行ったようなものだ。映画『ゴッドファーザー』は、鼻垂れが見て分かるようなシロモノではない。映画代は駄菓子とかマンガの単行本にでも使うべきだったのだ。髭を剃られるはずの男の首にカミソリ当てる床屋の店員がにやりと笑うシーンとか、真っ赤に染まるシーツに驚いてベッドの毛布をめくると現れる馬の首の図とか、そんな切れっ端しか覚えていないのならば。イタリア南端シチリア島に生まれた幼少のドン・コルレオーネが、目の前で惨殺された父や母や兄の復讐を後に果たすストーリーといって片付けられない、人が抗えない悲しい性、宿命、虚栄、諦念などがこの映画には渦巻いている。それを見事に表現していたのがこの映画のサントラだ。と今になって思う。彼をゴッドファーザーにのし上がらせたアメリカ社会にはもちろん、イタリア北部にすら決して漂うことのない、言いようのない悲しみをこの曲は今もたたえている。アンディ・ウィリアムスが切々と歌い上げようが、Sound Trackバージョンには敵わない。だったらなぜアンディの方を収録した。とは尋ねんといて。

 Carpentersの「愛にさよならを」は、「動物と子供たちの詩」に次いで好きな、つまり私にとってNo.2のシングルだ。エレギが引っ張る後半のハードな展開は今思えば珍しいタイプである。叙情豊かに流すその硬質なギター・ソロ無くしてこの曲は刷り込まれなかったに違いない。誰のソロだったのか、しかし見れば分かるライナーで確認する気にはなれない。名を失念したままのこのギタリストのプレイは「愛にさよならを」のそれをおそらく二度と超えることはなかったんじゃなかろうか。例えばLarry Carlton一世一代のスリルがSteely Dan「Kid Charlemagne」のソロをおいて他になかったように。Jay Graydonなら同じくスティーリー・ダン「Peg」で見せた緊張感がAirplayで見られなかったように。
 ところでカレンのボーカルというか、声というか、息遣いの生々しさったらない。歌い出す直前の息つぎ、開く口から漏れる舌打ち、など彼女の口や鼻から流れ出すありとあらゆる音が一つ残らず録られている。エンジニア君、きみはちょっとえっちじゃないかい。いいやつかけん、それは考えすぎというものだ。えっちなのはおまえさんの方だ。そ、そうかも。はは。で、それはこの曲に限ったことじゃない。そこまでさせたものはなんなんだろう。

 「Top Of The World」以降のカーペンターズにそっぽを向いたのと同じように、ポルナレフの"チャートNo.1が指定席"、にもうんざりすることになる。特に「愛の休日」が大の苦手だった少年は、次々に新曲をリリースしては指定席に駆け登る彼をなかなか素直に受け入れられなかった。だがその「~休日」以前のこの「渚の想い出」は違った。なんでだろ。メロディが肌にべたつかなかったからか。コード進行のせいか。大げさなアレンジが施されてなかったからか。イントロに出てくる波やカモメや船の汽笛のせいだけでないことは確かだ。

 カーペンターズの「動物と子供達の詩」と「愛にさよならを」の位置関係。をブレッドのそれに置きかえると「If」(あるいは「Aubrey」)と「Guitar Man」ということになる。ことになる? わ、分かるかそんな説明。ともかく「ギター・マン」は「イフ」とは別の路線、振り子がいわゆるロック側に最も振れている、で一番好きな彼らのブツである。「イフ」と天秤にかけて釣り合うのはこの曲を置いて他にない。「灰色の朝」ではダメだ。

 出た出たっ。この【70sマイ・オムニバス】全600曲が仮に30曲に絞られたとしても、「ゴー・オール・ザ・ウェイ」はそこに必ず残っているはずである。The Whoばりのギター・リフで幕を開けるイントロに高ぶった気持ちはちょいと変調されたメロでおおっとさせられる。憎い展開だ。Paul McCartneyだけじゃないぜ、な琴線にびりびり触れる旋律に乗せて運ばれるEric Carmenのボーカル、そして緩急自在なアレンジ。甘酸っぱさや切なさや、ではちきれんばかりの思いがギター、ベース、ドラムスに込められてがんがん鳴っている。これぞシングルの中のシングルだ。エリックは、後のソロ時代でなく、このラズベリーズでこそ光り輝いてる。「All By Myself」がラズベリーズ時代に演奏されていたら、と考えるのはちょっと楽し……くはないか。野イチゴに「~マイセルフ」の仰々しさは似合わない。

 早くも80年代を見据えていたのかきみたちは。クラフトワークよりも。Yellow Magic Orch.よりも。んな訳ないか。遊びでこんなん作ってみましたぁ、てな「ポップコーン」のこの気負いのなさがいい。彼らこそ正しい"一発屋"である。いや"1.5発屋"かな。って、柳の下に「パーコレーター」という小振りのドジョウを泳がせてもいたのだ。と書いてたら、その小振りなにょろりん君こそもう一度聴いてみたくなった。どこの川に流れていった。エアチェックしたテープを捨てなきゃよかった、なんて思うのはこういうとき。

 アルバムなら『~Ziggy Stardust~』より『Aladdin Sane』に思い入れがある私でも、David Bowieの「Starman」だけは別格だ。もしかすると彼のありとあらゆる曲々の中で一番天上に輝き続けているのかもしれない。かもしれない、じゃない。そうに決まっている。この曲で始まりこの曲で終わる、そういう存在である。今の彼を引き合いに出すまでもなく、ボウイは相変わらず変化し続けている。というより「お色直し」に余念がない。30年以上もの間ずっと。もうそのスピードにはすっかりついていけなくなっている私にお構いもなく、彼はいつまでも星から星へ飛び続けているとんでもないヤツだ。君の名はスターマン。地球に帰還することのないスターマン。永遠に。

 あなたが「タイトロープ」を発表してから30年。あなたの息子だと私が一瞬見間違えたLuther Russellという若い男をご存知ですか。彼はアメリカという豊潤な土壌から匂い立つかのような泥臭い音楽を求めて、日々もがき続けています。なんだかかつてのあなたに似ていませんか。ルーサーがThe Freewheelersというバンドを率いて90年代にリリースしたアルバム『The Freewheelers』や『Waitin' For George』は、私の近年の収穫です。彼の振り絞る声に込められたソウルは本物だと感じましたし、独特のしゃがれ声がどこかしらあなたに似ていたことも、私にうっかり「血」の匂いを嗅ぎ取らせてしまいました。その荒削りさといい、オレもオレもと主張するバック陣にともするとかき消されそうになる個性といい、しかしあなたと肩を並べるにはまだ至ってなかったのが残念ですが、まぁそれはそれ。若さってもんでしょう。その後彼はバンドを解散させ、ソロ活動に専念しているようですが、あなたを超える日がいつか来るのでしょうか。私は考えます。ぴーんと張られた一本の綱を渡るほどの状況に彼を追い込むことができるのは、他ならぬあなたなのではないかと。レオンさん、本当に彼はあなたの息子ではないんですね。


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Tracked on Apr 21, 2005 at 00:24

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