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マイ・オムニバス VOL.6

【ぼくとボランと海岸で】 72年 3/5

01 哀しみのシンフォニー / シルヴィ・バルタン
02 サムデイ・ネヴァー・カムズ / CCR
03 恋よまわれ / ジリオラ・チンクエッティ
04 テイク・イット・イージー / イーグルス
05 ダイスをころがせ / ザ・ローリング・ストーンズ
06 ぼくとフリオと校庭で / ポール・サイモン
07 ロックンロール / レッド・ツェッペリン
08 僕らに微笑みを / シカゴ
09 小さな愛の願い / カーペンターズ
10 メタル・グルー / T・レックス
11 ロケット・マン / エルトン・ジョン
12 暗黒への旅路 / マウンテン
13 メアリーの小羊 / ポール・マッカートニー&ウィングス
14 アイ・ニード・ユー / アメリカ
15 ナットロッカー / エマーソン、レイク&パーマー
16 勝利への讃歌 / ジョーン・バエズ
17 アローン・アゲイン / ギルバート・オサリヴァン
18 ブラック&ホワイト / スリー・ドッグ・ナイト
19 サタデイ・イン・ザ・パーク / シカゴ
20 秋はひとりぼっち / ヴィグラス&オズボーン
21 ダンカンの歌 / ポール・サイモン

 シルヴィの「哀しみのシンフォニー」は西洋クラシックのカバー、あるいはそれを下敷きにしたものだろう。…ちゅうつまらないことしか思いつかない私はなんでこれを頭に収録したんだろ。この曲を発表した頃がSylvie Vartanの絶頂期もしくは下り始め、だったように思う。少なくとも日本では。…なんだこの文章。愛だろ、愛。込めろよ愛を行間に。

 それなら、こちらはもうとうに下り切って温泉かなんかにつかってる頃のクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルだ。シングルなら「Born On The Bayou」、アルバムならそれを納めた『Bayou Country』こそ、槍が降ろうが猫が降ろうがぞっこんNo.1なのだ。とほざく私は少なくとももう5年早く生まれていれば。っと、愛なのよ、愛。後期CCRも聴き直しましょ。「サムデイ・ネヴァー・カムズ」だけじゃなくってよ。そそくさそそくさ。

 勇ましいホーン・セクションに導かれたシカゴの「Make Me Smile」は次々登場する後続部隊の先陣だ。シングルとして切り売りされた「僕らに微笑みを」はイントロだったんだね。全七陣からなる一大組曲はそのしんがりを「Now More Than Ever」に任せて攻撃を〆る。見事だ。同士Terryが銃に倒れようと、若きPeterが台頭しようと、AORなる砂漠に迷い込もうと、彼らは30年もの間この組曲を片時も忘れることはなかった。初期シカゴの血を途絶えさせなかった。95年リリース『Night And Day』に、だから私の血が一瞬騒いだのは仕方あるまい。だがそれすらもう10年近く前の話だ。クリスマス企画などでお茶を濁すな。騒いだ血は次の一瞬を呼んでいるのだ。まさかそれで終わりじゃあるまいシカゴ。

 疾走するハーレー・ダビッドソンがコーナーできゅっとかけるブレーキングのようだ。Leslie Westが聴かせた「暗黒への旅路」のギター・ソロは30年経った今でも小気味良く、かつ鮮やかだ。バンド・サウンド自体の重量感や演奏の展開、そして音符の並びも魅力的には違いないが、レスリー抜きには語れない。ところでこの曲にインスパイアされたにっぽんのバンドは竹田和夫率いるクリエイションではなく、もしやゴダイゴじゃなかろうか。帰宅途中の車でこれを流しながらそんなことが頭をよぎる私はどうかしてる。少しは仕事休ませろ。

 無数の石灰岩が切り立つ有名な渓谷目当てで訪れた中国は桂林。の町郊外に広がる田園風景がどこかヨーロッパのそれとダブって写った20年前。田んぼや畑とそこに点在する石造りの建物が醸し出す牧歌さは、アジアだヨーロッパだ、という区分けに果たして意味があるのだろうか、なんて思わせた。Paul McCartneyが紡いだ「メアリーの小羊」のメロディに流れる牧歌的な味わいは、例えばさだまさしの「桃花源」と、さらに例えばDick Leeが取り上げた中国古来の童謡「Little White Boat」と共通する。するはず。するかも。

 オルガンの奏でる厳かなイントロが終わった後は、8小節の中に織り込まれたメロディと詩のパターンを延々と繰り返す曲。それが「勝利への讃歌」である。ただそれだけで作品というのは力を持つことができるという好例だ。などと味気ないコメント書いて終わってはイケナイなにかがこの曲にはある。あるはず。あるかも。

 T.レックスの「Metal Guru」である。「メタル・グルー」である。「めるがるぅう」である。この曲の何にふっ飛ばされたんだろう。鳴り始めたとたんいきなり体ごと持ち上げられた、と思う間もなくそのままぐーんと天上まで上昇させられちまったイントロか。Marc Bolanに寄り添いうねうねヤラしく絡まるコーラス&オーケストラか。猥雑きわまりないくせにポップであろうとシンプルかつ繰り返し踏ん張るメロか。はじけてるのに切なくはかない。それは小刻みに息継ぎを繰り返すボランのボーカルだけでなく。あらゆる楽器の響きが、旋律が、アレンジが、組み立てが、繰り返しが。そのすべてがはじけている。はじけて散らばってきらめいている。なのに切ない。はかない。こうしてT. Rexという看板背負ったマーク・ボランは、それまで波打ち際で遊んでいた私に洋楽という名の海へ舟を出させることになる。2分ちょっとで。

 それがさもクラスメートの証であるかのように、初めてチャートというものをレポート用紙に書き留めてみた。文化放送"ALL JAPAN POPS 20"というやつだ。みのもんたがパーソナリティの。その最初の一枚には「10月21日(土)」と記されている。72年のだ。すすけた紙の上に20個の曲が今でも整然と並んでいる。訂正されることのなかった表記ミスもそのままだ。そのときの第1位から5位までが今回#17「アローン・アゲイン」から始まり#21「ダンカンの歌」で終わる5つの品々である。この薄汚れた紙束を捨てなくてよかった。捨てていたらぼくはここにいなかった。


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Tracked on Nov 26, 2004 at 18:55

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