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駿河名物その一

 駿河の国といえば茶の香りだと?
 ちっちっ。旅のお人、フルーツを忘れてねぇかい。
 なに、ミカンだと。
 ちっちっちっ。イチゴだよ。イチゴが美味いんだよ。
 生まれは家康を祭る東照宮のお膝元、久能。名は章姫。
 どうだい、聞いたことがあるだろよお前さんも。

 この冬から春にかけて、毎週末、久能山と駿河湾に挟まれ走る国道150号線沿いは若いおねいちゃんから酸っぱいばあちゃんまでがずらりと並ぶ。もちろん理由がある。一斉に呼び込みをするのだ。呼び込みったって相手はびゅんびゅん走る車だよ。頼むから車道に飛び出してくるなよあのばあちゃん。車道でよろけるなよこっちのばあちゃん。おっ、あのおねいちゃんきれいだなぁ、なんてへらへらしてたらマネキン人形だったりする。間抜けっ。そんな久能街道に繰り出す車や観光バスのお目当ては久能山東照宮とこのイチゴのビニールハウス群なのだ。

 アキヒメを主役としたこの海岸通りがイチゴのメッカなんだろうけど、ばあちゃん連中を振りきり、車を西に転がし安倍川を越えて用宗漁港の手前でちょっと一服する。っと、辺りを見回せばそこはブドウや桃畑などが点在するフルーツ・ゾーンなのである。イチゴ園ははたしてここにもあるのだった。呼び込みのばあちゃんはいないけど。実は以前この地区のとあるイチゴ農家を訪れ、イチゴづくりの未来を熱く語る農園主のほとばしる思いに圧倒されたことがあるのだ。
「イチゴとの出会いを大切にしなくちゃいけません。ほら昔から言うでしょ。一期一会」

 さて、容姿端麗な王女もいいのだが、ときには舞踏会に出されずしくしく泣いている姫様を味わってみるのもこたえられないのだ。決して市場に出ることのない、およそイチゴらしからぬ不恰好な形、裂け目の入りそうなウルトラLLサイズ。これをそのままがぶがぶ食らいつく。…至福のひととき。

 この手のイチゴをどうやって手に入れるか。それは、これだ!と思える農家に目をつけたら、そこのご主人とまずは仲良くなることなのだ。
「駿河っていったらなんたってイチゴですよね」
頃合を見計らって出すこのセリフをお忘れなきよう。ご主人を泣かせることができたらしめたものである。

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