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再会

 まさか再会するとは。

 先日覗いた中古盤屋の、そいつは目立たぬ場所に目立たぬ文字を背表紙にプリントされて棚の中に埋もれてたりする。自身の記憶の中でも彼らの作品中「目立た」ない3作目。棚から引き抜き、裏返すと「1976」ちゅう小さな数字が読めた。

 この年、やがて訪れる自身の「洋楽離れ」の足音も知らず、私は『Black And Blue』で初めてThe Rolling Stonesに殴られ、Steely Danの『The Royal Scam』に翻弄され、「Georgia」でひっくり返すBoz Scaggsの喉に切なくさせられ、バック陣を一瞬戸惑わせようが、んなこたぁお構いなく「Hurricane」に叩きつけるBob Dylanのハートに打ちのめされる、のに忙しかったのだ。
 エアチェックはされてライブラリー入りしたのは確かだが、彼らの3作目を私の耳はほとんど無視していた。1stの衝撃や2ndの充実に比べてなんだか散漫でしまりがなかったし。とにかくその年、私の興味はもう彼らには向いていなかった。

 それから30年近くになる。あんなに好きだったストーンズは次作『Some Girls』を含めたその後すべてのアルバムが私を一度たりともときめかせてくれなかった。スティーリー・ダンも同じようなもんだ。『Aja』のB面と『Gaucho』収録の「Glamour Proffesion」を除けばもう聴くほどのものはない。去年出た『Everything Must Go』だって何を今さら。3年前の『Love And Theft』にちょいとどきっとさせられたディランは…あ、これはまだ聴けるか。

 とか言いながら、しかしくだんの3作目は今しがたずっと聴いていたりする。買っちまったのね。>Bad Companyの『Run With The Pack』。 
 ホントに久しぶりに聴いたこのアルバム。確かに「ゆるい」感触だ。飛び跳ねない音。緊張感のうすい演奏。だけどリリース当時持ってた印象よりずっとイイ。自身のルーツ探求にいそしむかのような近頃のPaul Rodgersよりはるかにましなボーカリストが歌っている。バンド然とした音のまとまりもある。

 なーんて、とってつけたような理由は置いておこう。ホントは76年当時の少年をとりまくあれやこれやを見ていただけなのかもしれない。そこには吹田の町並がある。トン汁もある。焼き飯がある。銭湯へ向かう下り坂もある。そして当時離れ離れとなったM子もいる。「再会」してしまったのはこのアルバムの向こうにあるものなのだろう。
 それは76年以来たぶん一度も聴き返さなかったこのアルバムじゃなければ見えなかった光景そのものなのだきっと。

Badcompany_run

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