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不思議の国のアニー・ハズラム

Haslam_wonderland
 Annie Haslam  『Annie In Wonderland』  1977年


 実に不思議なアルバムだ。
 『Annie In Wonderland』は、さんざ引っ張ったThe MoveからElectric Light Orch.の1stという名の荷車を道に捨てた挙句、畑のカボチャに魔法をかけて馬車Wizzardに仕立てたまではよいが、馬と一緒にそのままどこかへ走り去ったRoy Woodのプロデュースなんだよね。このロイ・ウッドが鍵なんだろう。ロイの趣味はそのドラムスやらオーケストラ辺りにはもちろん、アルバム全体を包む様々なミスマッチの"妙"にこそ散りばめてあるのだと思う。

 この作品の主役はもちろんアニー・ハズラム嬢の高く伸びるもほんのりビブラートする声ではある。がしかしバックの音は毛色がまるで違うもの同士の取り合わせだよ。だよ。だよーん。汁粉とトンカツ。西瓜にビール。鰻丼にチョコレート。 サシミと牛乳。うーむ、ご気分悪くされた方いらしたらごめんなすって。でもね、これがウマイのだから困ってしまうのだよ。だよ。だよーん。

 イングランドの牧歌か、イベリア半島~バルカン半島をさまようボヘミアンはたまたジプシーの民謡か、いい加減なことしか連想できないどこかで聞いた旋律「If I Loved You」まではまだまともな方だね。

 つづく「Hunioco」から"ミスマッチ"を楽しめるのだ。ぐふふ。ABBAの「悲しきフェルナンド」かと一瞬思わせる北欧の美しさが一転、後半打ち鳴らす打楽器のリズムと野郎共の掛け声はどう転んでみてもアフリカの熱く黒き大陸のそれだ。ライオンだ。サバンナだ。キリマンジャロだ。

 「Rockalise」はフランスの映画音楽かいな。いや、『宇宙戦艦ヤマト』にでも使えそうなスキャットだ。おんや?いつのまにかサックスが登場してロックンロールが絡んできたぞ。おお、それに負けじとアニー嬢がオーケストラとジョイントしとる。なんだこりゃ? 不思議な世界。

 6曲目「Nature Boy」のメロもどこかで聞いたことがあるな。音楽の授業中かな。ややフレンチっぽい味付けだが。にしてもリズムはありし日のディ、ディスコだ! それに乗って最後に延々と続くアニーのボーカルとギターのユニゾンが見事だ。George Bensonも真っ青。

 まだあるのかいな。7曲目「Inside My Life」。ん?これはFairport Conventionからつながる正統派イングランド・フォークかも。サビの最後でアニーが高音を半音上げるのが印象的。などと少しほっとしてたら最後のギター・ソロはずばり後期The Doobie Bros.のファンキーな味わいが。まさかゲストにPatrick Simmonsあたりがいるんじゃないだろうな。

 最後の「Going Home」はハープで始まりおもむろに男性コーラス陣が登場する。フルオーケストラが壮大な音で支える中、アニーは朗々とその喉を響かせる。こりゃまともじゃ。「とーおきー やーまにー ひーはおーちてー」の原曲だ。そういえば中学校の下校音楽ってこれだった。毎夕ちと物悲しい気分にさせたんだよな少年を。今日はこれでお別れだよのりこちゃん(仮称)。つらいだろうが耐えてくれ。朝陽はあの東の空にまた昇るのさ。きっと、きっとまた会えるから。ね、のりこちゃ…あれ、ど、どこに行ったののりこちゃん。あ、どんどん帰ってやんの。

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